世界遺産を勉強するにつれて、『百聞は一見にしかず』
やっぱり自分の目で見て感じることが世界遺産を知る近道だと、国内の世界遺産を巡る旅をこれからしていこうと思います。
まず第1回目は『法隆寺地域の仏教建造物』
1993年12月に日本で初めて世界遺産に登録されたうちのひとつの文化遺産です。
法隆寺に属する47棟と法起寺の三重塔1棟の計48棟で構成されています。
法隆寺西院の金堂、五重塔、中門、回廊、法起寺の三重塔は現存する世界最古の木造建造物です。
住んでる地域から近い『世界遺産』
近すぎてかえってなかなか訪れることはなく、今回で2回目の訪問。
『世界遺産大辞典 上巻』を持参して意気揚々とやってきました。
『法隆寺』に向かう前にまずは世界遺産の構成資産のひとつ『法起寺』に向かいます。
以前から『法起寺』の前を通ることはあり三重塔の存在は知っていましたが、今回初めて訪れました。
いざ訪れてみると駐車場が見当たりません。
近くの空き地に停めさせてもらってお寺で聞いてみたところ、そこに停めといてもらったら良いですよ!と快いお返事。
駐車場問題は無事解決。
駐車料金は無料でした。
法起寺の門。
世界遺産があるお寺の門にしてはこじんまりしています。
入口で入館料を払い、持参した御朱印帳を預けます。
周っている間に記帳してくださるとのこと。
境内は広くは有りませんがとても綺麗に整備されていました。
朝早かったので私の他にいはまだ拝観者はいなくて、玉砂利が綺麗に整えられたままです。
ご親切にご本尊の重要文化財『木像十一面観音菩薩立像』がある収蔵庫の場所を教えていただきました。
収蔵庫の中に神々しく輝く観音様がいらっしゃっいました。
その美しさにうわぁ〜と思わずため息。
仏様をゆっくり拝見したのは初めてです。
神聖な気持ちになります。
収蔵庫を出るとお目当ての
世界遺産『三重塔』
高さ約24mで現存最古の三重塔です。
飛鳥時代706年に創建された国宝。
小さい塔ではありますが、1000年以上この地にそびえ立ち、数々の歴史を見守ってきた世界遺産を目の前にし感慨深いものがあります。
法起寺を出て車で5分ほどの法隆寺に向かいます。
法隆寺の駐車場には、たくさんの観光バスが入ってきていました。
さすが有名観光地ですね。
法隆寺は推古天皇、聖徳太子によって607年ごろに築かれた若草伽藍(斑鳩寺)が最初の仏教寺院です。
駐車場から少し歩いて南大門に到着。
1438年に再建された国宝。
法隆寺の伽藍配置図
この図を見る限り、かな〜り広い敷地です。
18万7千平方メートル、東京ドーム4個分です。
まずは金堂、五重塔がある「西院伽藍」へ向かいます。
中門の前には「日本最初の世界文化遺産 法隆寺 平山郁夫」と書かれた石碑が建っています。
昭和26年に壁画を修復した日本画家の一人が平山郁夫さんでそのご縁でこちらの文字を書かれました。
堂々たる門構えの「中門」
寺院の門は人が通れるように奇数の間数が一般的ですが、この中門は4間なので中央に柱がある珍しい造り。
今はこの中門を通ることは出来ませんが、実際通ると柱が邪魔になりそうですね。
両端には711年に造られた重要文化財に指定されている『金剛力士像』があります。
『阿行像』はお口が「あ」と開いていて赤っぽい色をしています。
『吽行像』はお口が「うん」と閉じていて黒っぽい色をしています。
大迫力の威圧。身震いします。
この貫禄で寺院内に邪鬼を取り入れないようにと造られたんですね。
作者の魂が感じられます。
3mを超えるとても立派な塑像。
塑像とは「心木」と呼ばれる木材を中心にして、竹などの軟木を巻き、粘土を用いて造形した像です。
塑像の『金剛力士像』が現在まで風雨にさらされる中現在まで残っているのは奇跡ですが、何度も補修はされています。
阿行像に関しては、頭部と右腕を除き木造に補修されています。
見た感じは違和感は感じませんでした。
中門の向かって左側を行くと西院伽藍に入る入り口があり、ここで拝観料を支払います。
回廊も国宝です。
柱を見ると中央の部分が膨らんでいます。
これが有名な「エンタシス」
ギリシャのパルテンノン神殿で見られる技法。
この時代に遠く離れたギリシャの技法が用いられているとは、交流があったのでしょうか?
すごいことですね。
大講堂側から見た金堂と五重塔
法隆寺式伽藍配置は東に金堂、西に五重塔があります。
この伽藍配置は私が受験した世界遺産検定でよく出題されます。
実際に見たら覚えられますね。
国宝『五重塔』
高さが32.5メートルで国内最古の五重塔です。
上にいくほど屋根が小さく塔身も細くなっていて、デザイン的にも評価が高いです。
均整が取れていてすらっとしていますね。
古代中国の建築とも共通する雲形組物で屋根の軒を支えています。
鬼が睨みをきかせて邪鬼を払うようにしっかりと支えています。
頼もしい限りです。
違う方向の軒下も。
五重塔の最下層の中には、奈良時代の始めに造られた小さな塑像がたくさんありました。
東西南北それぞれに仏様の様々なストーリーが表現されています。
覗き込んでみましたが、かなり暗くてしっかり見ることは出来ませんでした。
でも、うっすらと白い小さな塑像がたくさんあるのが見れて面白い光景でした。
711年ごろに再建された「金堂」
ベランダのようなところに「卍くずし」、漢字の「人」のような「人字形割束」(ひとじがたわりづか)」
飛鳥時代の装飾が見られます。
こちらの軒下には上り龍の装飾の雲型組物。
ご本尊を安置している金堂だけあって龍が装飾されているとは、さすが威厳がありますね。
金堂には法隆寺のご本尊が安置されています。
決して広くはない金堂内部には、これでもか!というぐらいたくさんの国宝の仏様が安置されていて圧倒されてしまいました。
なかでも飛鳥時代に聖徳太子のための造られた国宝「金堂釈迦三尊像」のアルカイック・スマイルには魅せられました。
天井には天蓋が吊るされ、周囲の壁面には仏教壁画が描かれていましたが、壁画は1949年の金堂火災により焼損してしまいました。
この火災をきっかけとして、『文化財保護法』が出来ました。
悠久の歴史を彩る大事な遺産がふとした不注意で一瞬になくなることは虚しいですよね。
私たちも心して大事に扱っていかなければいけませんね。
五重塔、金堂の奥には国宝の「大講堂」
990年に再建されました。
もともとは仏教の学問を研鑽したり、法要を行う施設として建立されました。
廻廊は気持ち良いぐらい整然とエンタシスの柱が並んでいます。
西院伽藍を出て聖霊院で御朱印をいただきました。
その奥にある百済観音堂には国宝「百済観音」が安置されています。
百済観音は日本の仏像には珍しく八頭身のスラリとしたお姿です。
スタイル抜群!モデル並みです。
なんともいえない表情で引き込まれてしまいました。
大宝蔵院には国宝の「玉虫厨子」がありました。
教科書で見たことがあるやつです。
国宝の「東大門」をくぐり、東院伽藍に到着。
8世紀前半に造られた伽藍です。
国宝の現存する最古の八角円堂「夢殿」が本堂です。
均整の取れた綺麗な八角形のお堂。
なぜわざわざ造るのに難しいであろう八角形のお堂にされたんでしょうか?
夢殿には聖徳太子の等身の秘仏「救世観音像」が安置されています。
明治時代までは白い布に覆われた秘仏でしたが、明治政府の命を受けたアメリカの東洋美術史家アーネスト・フェノロサと美術研究家の岡倉天心が開示を要求し、姿が明らかになりました。
残念ながら見ることが出来なかったので、公開時期にまた訪れたいと思いました。
神社、仏閣をまわるのにこんなに時間をかけることは今までありませんでした。
世界遺産を学ぶ観点からじっくり見たというのもあり拝観するのにかなり時間がかかりましたが、法隆寺の敷地はすごく広かったです。
見るもの見るもの国宝のオンパレード。
法隆寺には国宝の建築、美術品だけでも約40件、重要文化財を含めると約3000点あります。
もう本当にお腹いっぱいになりました!
今回、「世界遺産を見る」というテーマで法隆寺を訪れ、深くじっくり感じとても有意義な時間を過ごせることが出来ました。
法隆寺の境内はガイドさんに伴われ、熱心に説明をしっかりと聞いている観光客の方がなんと多いことか!
ガイドさんも独自の写真を用意したりで、いかに観光客の方が興味を持ち、楽しんでいただけるように趣向を凝らせている姿が印象的でした。
大学生ぐらいのガイドさんが熱心に動じることもなく説明する姿は、ただただ感心するばかりでした。
勉強もかなりされたんでしょうね。
コロナの影響で海外からの観光客はほとんど目にしませんでしたが、そろそろ戻ってきそうですね。
日本を代表する世界文化遺産の『法隆寺地域とその仏教建造物』
世界の方々にも実際に訪れ感じてもらえたら、日本人として誇らしい限りです。
さて次はどの世界遺産に行こうかな!
法起寺
- 住所:奈良県生駒郡斑鳩町大字岡本1873番地
- 電話:0745-75-5559
- アクセス:JR法隆寺駅より北東約2.5km
- 拝観時間:8:30〜17:00(11月4日〜2月21日は16:30まで)
- 拝観料:300円
法隆寺
- 住所:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1番1号
- 電話:0745-75-2555
- アクセス:JR法隆寺駅より徒歩約20分
- :法隆寺駅からバスで5分。法隆寺門前バス停下車すぐ
- 拝観時間:2月22日〜11月3日は8:00〜17:00・入場は閉門30分前まで
- :11月4日〜2月21日は8:00〜16:30・入場は閉門30分前まで
- 拝観料:大人1500円・小学生750円
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