『私のマトカ』 片桐はいり 著

旅の本

このところ、フィンランドにハマりつつある。益田ミリさんのエッセーから始まり、映画『かもめ食堂』、フィンランドのワークライフバランスの著書など、、、

『かもめ食堂』の撮影の後に、引き続きフィンランドに残り、1人旅をした片桐はいりさんのエッセーを読んだ。『マトカ』とはフィンランド語で「旅」のこと。私たちを一緒にどんな旅に誘ってくれるのだろうか?

内容

著者の片桐はいりさんは言わずとしれた個性のある女優さん。お姿や妙にとぼけた演技をTVや映画でお見かけすると、クスッと笑わずにはいられない。『かもめ食堂』で演じたみどりも、しっかりもので閑古鳥のお店をなんとかしようと一生懸命。しかし、「なんとかなるでしょ」とゆったりとした心持ちの店主さちえにスルーされる様子が微笑ましかった。

食べるのが大好きなはいりさん。今回の旅でもまず飛行機の中でフィンランドのライ麦パン・シナモンロール・世界一まずい飴「サルミアッキ」の洗礼を受ける。スオミ食堂の純粋に美味しいフィンランドロケ飯に感動したり、恋しい厚揚げを探してあちこち探し回り、やっと見つけることが出来て大喜びする無邪気さ。

街の移動はもっぱら「トラム」英語が不得意であろう無愛想な運転手さんとのやり取りで、ハラハラするも最後は運転手さんの言葉は通じないが真心の優しさに涙してしまった。

ファームステイ先では奥さんが入院中にもかかわらず、おじさんがバイクを2人乗りでくまなく自分の敷地を案内してくれた。童心に返った気分で楽しくて楽しくてしょうがない。おばさんの病院に行く為におじさんは出かけてしまい、1人残された時におこった恐怖の出来事。

フィンランドの特におじさんは寡黙で言葉が通じない分、恐怖すら思うこともあるが、皆とっても温かく優しいのだ。

旅先のフィンランドで出会った心温まる交流と体験をはいりさんならではの文才でユニークに描かれたエッセイ。

心惹かれたところ

このエッセイが処女作というはいりさんだが、語彙力が半端なく、ユーモアに溢れている。その中でさりげなく難しい言葉が出てきて、何回も調べながら読み進めた。頭の良さが滲み出ている。一緒にその場にいるような感覚で笑わせてもらえた。

特にファームステイ先での楽しい体験や怖い思いをした事はこちらもワクワク、ハラハラした気分を味わった。頭の中でサイレント映画を観ているようなドキドキ感。さすが、演劇人だと思わされた。感性もとても豊かで、ヘルシンキでもたくさんムーミンたちに出会っていたと出会った人々を物語の登場人物に例える。そんな楽しかったフィンランド旅行。せめて紙の上だけでも旅を続けていたかったのだと心にズンと余韻が染み渡った。私もはいりさんの旅をまだまだ体験したかった。

終わりに

森と湖の国、フィンランド。その中にサウナもあって身近に自然を感じられる、国全体が癒やしの国。自然がいっぱいの癒しのせいか、人々も穏やかで優しい。日本のような時間に追われるせかせか感が全く無い。特におじさん達が寡黙だけど、とっても優しい。

ゆったりした空気をいっぱい浴びて日本に帰り、今までだとイライラする場面でも、不思議と「余裕」で対応出来るようになった。癒やしの国の魔法にかかり、「余裕」という武器を手に入れることが出来たというはいりさん。

「余裕」からくる穏やかな優しいフィンランドの人々。いつか私もそんな洗礼を受けに行き、「余裕」という武器を手に入れたいと強く思った。

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